当然のことながら、オーストラリアの教育状況は日本と少し違います。今回は、そんなオーストラリアの教育システムをご紹介したいと思います。
オーストラリアの教育システム
日本はご存知のように、小学校が6年、中学、高校がそれぞれ3年ですから通算、12年間の教育システムになります。ここは、オーストラリアもおなじで、K12と言われるシステムになります。しかし、これは州によって少し違いがありますので、ここではニューサウスウェールズ州のシステムでお話しさせていただきます。
- プライマリー・スクール:幼稚園 ー 6年生 (Year 6)
- ハイ・スクール:中学1年 ー 高校3年 (Year 12)
日本とほぼ同じなのが小学校の6年教育です。それでもこちらは5歳から小学校に付属している幼稚園ーkindergartenに入学しますから、実質は7年間教育ということになります。この幼稚園が終わると、Year 1 ー 小学1年になります。新学期は、毎年1月の最終週に始まります。日本は、4月ですよね、桜の時期が新しいスタートになるのですが、こちらは年明けの1月の末です。
Infant school
そして、そのままずっとYear 6、小学6年まで同じ学校にいることになります。しかし、数は少ないのですが、Infant School ーインファント・スクールと言われる、キンダガーテンからYear 2、小学2年までの小学校があります。この場合、小学2年生になったら学区内の小学校に転入することになります。このInfant Schoolの良いところは、生徒が少ないこと。それによって、他の学校よりもケアーがしっかりしているということで、結構人気のようです。
小学校でも制服
そして、このプライマリー・スクールからずっと制服になりますので、明日の服のことを気にしなくて済むようになるので、親としてはとっても楽です・・・が、お弁当になります。
そして、面白いのが教室での教育方針です。こちらは自分の机というものがありません。それぞれにカバンをかける場所、自分のワークシートなどを入れるトレーなどは支給されますが、教科書はありません。
オーストラリアの公立学校には、教科書がない!
主人に聞くと、昔はちゃんとあったそうですが、政権が変わって、公立の学校は経費節減のためコピーペーパーなどで代用しているんです。でも、私立の学校ではちゃんと教科書があります。高いお金を出して買います。そして、この政権は、政府からの援助金も私立の学校に寄付しています、公立の学校よりも多く。
これは本当に由々しき問題ですが、政府はこの件に関してあまり報道しません。だから、あまりちゃんとした情報源を持っていない、あるいは取ろうとしない常識なしの人たちにはよくわかってないと思います。この自由党(レベラル党)が政権を取った時点で速攻で行ったのが、こういった福祉の税金の削減。
現政権を支持している人たちは、裕福層が多いので、公立にはほとんど行きません。お金持ちには関係のないことはさっさと切り捨てる、これが現政権です。この件についてはもっと言いたいことがあるので、また今度。
教科書なしの授業はどうなってる?
では、どうやってオージーの公立の小学生は勉強しているのかというと・・・・課題や問題をやる度に先生がコピーした紙を渡します。
公立の小学校でも、私立でも基本はグループ・ワークになります。先生から課題や問題を出されて、みんなで協力して答えを出すという感じで進んでいきます。だいたい、1グループが5人〜6人程度。丸いテーブルもあれば、四角いテーブルに座って勉強します。
小学校の1年生程度では宿題はありませんが、読み書きがあまり得意でない子達はReading Recovery – リーディング・リカバリーと言われるスペシャリストによる補習が毎日あります。ウチの子たちも2人ともやりました。現在、小1の下の子もやっている最中で、この補習では毎日読み書きの宿題が出されます。
ただ、これは地域の学校によって異なるようです。宿題のドリルのような感じのものがある学校もあるようで、同じ公立でも政府から出される寄付金の使い方が違ったり、お金持ちの多い地域では親たちから出る寄付金にも違いがあるようで、これもどうかと思いますね・・・・。
まず、小学校6年間で子供達が学ばなければならないことは、
- コミュニケーションがきちんと取れること。
- 協調性や自主性をグループ・ワークから学び、自分の意見をきちんと言えるようになること。
- 何よりも元気でハッピーに過ごせること。
これは、以前に上の息子の小学校の校長先生と日本の教育方針とこちらの教育方針についての意見交換をした時に話してくださいました。もちろん、算数(こちらでは数学と小学校から言います)ができる、文字の読み書きができるなどの基本的なことが最低限できていればいいと。そして、その上のハイスクールに行ってから、頑張ってね。ということだと私は解釈しました。
当然のことながら、今でもこんなんでいいのかと思うときもありますよ。
今年、高校1年(こちらではYear 10)になる息子の勉強量にしても、私の時と比べるとびっくりするくらい少ないです。それでも、学校の先生(私立)は、「まあ、来年はもっと本腰入れればいいでしょう」なんて言いますし、数学も60点取れば「よくできました」です。
どうなってるんだか、よくわからないのが現実なんですが・・・・まあ、これでいいんだから、いいのかなと。受験戦争がないんだから、こうなるんだろうなと。
塾や家庭教師は?
そして、塾はありません。家庭教師を頼むという感じになりますが、あまりにも酷い場合に雇うような感じになります。そして、家庭教師の先生は自分の学校の生徒以外、他校の生徒であれば教えてもいいので、アルバイト的にやっている先生もいます。
上の息子があまりにもひどかったので、隣の町の先生に来てもらっていました。また、もちろん家庭教師を斡旋する業者もいたり、ネットに登録してそこからアクセスするといったコミュニティーベースのサイトもあります。しかし、やはり生徒の親同士のつながりや、紹介などから探した方が信頼性も高くなると思います。
まとめ
ご存知のように、日本の教育は詰め込み式です。ゆとり教育なんていうものもあったりしましたが、基本的に自分の意見を教室でバンバン言える環境ではありません。実際、私は18年間日本に住んでいませんから、現在の日本の小学校の教育がどういうものかは、よくわかりません。
けれど、教科書なしの、謎が多いこのシステム、実は子供達にとって、いいんじゃないかなぁ・・・と私は思います。まず、自分の意見を言えるような自立心を育てます。協力して問題解決を図る、中にはなかなかできない子もいるでしょう、そんなできない子を助けてあげることによって助け合うという気持ちを育みます。
確かに、学力などはきっと日本の子供達に劣っていると思います(そりゃぁ、自分の息子たちを見てるとよくわかりますしね)。
けれど、どうでしょう?私たちが育ってきた競争社会の産物は、いろんな部分で影を落としていないでしょうか?
もちろん、こちらだって学力を上げること、いい大学に入ること、そういったことは当然あります。日本以上に学歴社会ですから、管理職になるために大学に戻る人もいます。ですから長男には、私も主人も口を酸っぱくして「勉強しろ」と言います。けれど、小さいな小学生には勉強よりも、大切なことがあるんだということをこっちに来てわかったような気がします。