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【老後・介護問題】オーストラリアで寝たきり老人がいない理由とは?

私たち夫婦もだんだんと歳をとってきて、両親の老後このことをちょっとばかり考えるようになりました。私の両親は父親はもう亡くなりましたけど、母親は再婚して今は元気にやっているようです。まあ、とりあえず私には兄がいますから、別居はしていても最終的には同居になるのか、どうなるんでしょうか。元気なうちはいいのですが、病気になったり高齢で動けないくなったりした場合のことを考えるとちょっと心配になります。

うちの主人の方の両親は、まあ、かくしゃくとしたもので、二人とも80歳になっていますがまだまだ老後の心配はいらないなぁ・・・と思います。実際、近くにいてもらいたいけど(ウチから車で20分のところに住んでます)、一緒に暮らすのは絶対に嫌だといいます。気を使って、面倒なだけだし、もしもの時はホームに入った方がいいなんて言いますね。

やはり、個人主義のお国柄なんでしょうね・・・。私が思うに日本人の老人と比べるとこちらのご老人の方が元気な方が多いように思います。ボランティアに参加したり、老人ホームに入っていてもいろんな交流があるようです。75歳になるお隣の老婦人も忙しそうに孫の世話や、マーケットで装飾品を売ったりしているみたいです。
それに、オーストラリアでは日本のように寝たきり老人や看護などが社会問題になるようなこともありません。つまり・・・

オーストラリアには寝たきり老人がいない

これは、多分、ヨーロッパ各国でも同じだと思うんですが、不必要な延命治療は基本的にはしない方針なんですね。最近になって、友人のご両親が亡くなったりすることが多く、気がつくんですが、ガンなどの末期になってこれ以上の治療、回復は無理だと医師が判断した場合、不必要な治療を打ち切り、家庭での看護ができる場合には家庭に帰って最後の時を過ごすか、一人暮らしだったり、家族がいない、または世話をする余裕がない場合は老人ホームに入ります。または、余命6ヶ月以下と医師から診断された方のみがホスピスに入ることができます(余命が伸びた場合はその都度更新します)。

このホスピスは、メディケアで保証されているので、基本的には無料になりますが、ギャップと言ってメディケアではカバーできない部分もあるので、その時は実費になりますが、しかし、もしも全くお金がない場合は最低限の治療を受けることは保証されます。また、日本と違い、永住権保持者であれば老齢年金(日本とは違い、高齢者のための生活保護費のようなもの)がもらえますから、そこからこの差額、ギャップを払っても良いでしょう。このホスピスには、医者、看護師、ボランティア、カウンセラー、セラピストなどで宗教によっては牧師さんもいます。そして、そこではペイン・コントロール、痛みを抑えたケアーで最後の時を迎える事になります。

 

延命治療の拒否と賛否

延命治療は愛する家族としては1分でも1秒でも長く生きて欲しいというのは当然の気持ちです。けれども、それに伴う当人の苦痛は計り知れないものがあると思います。最近、近しい友人のお父様が亡くなりました。87歳でした。痴呆症を患い、また胃ガン治療も一緒にしていたそうです。しかし、年齢的なことも考えて昨年、医師から治療の中止を提案されましたが、一旦は家族が拒否したもののお父さんのガンの進行状態、痴呆症の進行などをみて、このまま個人の尊厳を残したまま逝かせてあげるのも家族の愛情ではないか・・・という結論に達したそうです。それから、半年後に亡くなりましたが、不必要な手術もなく、痛みだけを緩和するケアーのみで緩やかに亡くなったそうです。

 

日本はなぜ寝たきり老人が多いのか

ここでオーストラリアや欧米諸国と日本の違う点は個人の人間としての尊厳を尊重するということです。どんなことをしても生きていて欲しいと思うのは当然でしょうが、日本ではそれが過剰な医療になっていて、療養病床の半分以上が経管栄養や中心静脈栄養で延命されている人たちだそうです。こうした人たちが今現在の治療を打ち切り、モルヒネなどの鎮痛剤により緩和医療に切り替えれば多分、2週間以内にはご臨終を迎えることになるでしょう。そうなると、病院の病床が空いてしまい、経営状態が悪化するということになりますから、いわば病院経営のために生かされているということになるのかもしれませんよね。

そして、やはり「どんなことをしても生きて欲しい」という気持ち・・・。なんども言いますが、愛する家族としては1分でも1秒でも長く生きて欲しいというのは当然の気持ちです。それは欧米であろうと人間ならば、当然ある気持ちですが、実は私自身も実の父の今際の際に迷ったことがあるんです。

 

生前からどんな最後を迎えるかを考える

私の両親は私が14歳の時に離婚していて、母はすぐに再婚しましたが、実の父はそれからずっと独身でした。そして、一人暮らしが長く、やはり老後のことを心配していたんです。80歳になって、電話で話をするとやはりちょっとずつ声音が弱くなってきているように思い、もしもの時のことを相談することにしたんです。特に私はオーストラリアにいて、急に駆けつけることはできないかもしれませんから、延命処置はどうするのか、葬式はどうするのかなどです。父は「縁起でもない」なんて言って初めはそんな相談をしようとはしませんでしたが、「事故にあうかもしれないし、病気かもしれないし、人間いつどうなるかわからないんだから、縁起が悪いとかそういう問題じゃなくて、お父さんの年齢だったら当然の決まり事を相談するんだよ」と説得して、色々と打ち合わせしました。その時、いっぱいチューブをつけられて痛い思いをするのは嫌だから、延命処置はしないでくれと言われました。

そして、それから1年後、冠静脈剝離で倒れ病院の緊急手術中に死亡したんですが、病院から連絡を受けた時に私は「助からないのであれば不必要な延命はしないでください」と言いました。事実、応対に出た看護師さんは「え?」と聞き返してきたので、「ああ、薄情な娘だと思っているのかな」なんて思いましたが、「父と生前、話していて、もしもの時はあっさりと行かせてくれと言っていました」と伝えると「わかりました、医師に伝えます」と言ってくださいました。こんな時、みんな「どんなことをしても助けてください」っていうのかな・・・だから、日本では植物人間でもチューブをいっぱい付けてて生きているんだろうか・・・なんて思いました。

まとめ

文化の違いや、国民性の違いなどがあるとは思いますが、やはり私は自然死を望みます。基本的にオーストラリアでは不必要な延命治療などは行わない方針ですが、家族や患者の強い希望であればもちろん治療は可能です。けれどもそれに伴う、経済的な負担、そして患者の精神的、身体的負担を考えると自然死を尊重することの方が人間としての尊厳を守り、人間らしく終わることができるという考えが根本になるのです。

けれども、家族として、特に日本では「薄情者」というレッテルを貼られることを恐れて言えない家族もいると思います。ですから、元気なうちから「縁起でもない」なんて言わず、これは当然やってくる終末であり、万人に共通した問題なので、しっかりと自分の最後はどうしたいのかを考えて、ご家族の方に伝えておいた方が良いと思います。

医療の発達により、なかなか畳の上では死ねない世の中になりましたが、それでも人間としての尊厳だけは守りたいと思いませんか?

 

 

 

Sakura
2000年からオーストラリア在住。シドニー某大学の修士課程卒業。『海外在住引きこもり主婦』のアーティスト兼ブロガー。専門は銅版画ですが、油絵もやります。海外生活事情や文化などを中心に書いてます。
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