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【豪州生活】実体験から見た、オーストラリアのジェンダー教育と現実とは?

私がオーストラリアの永住したのは2000年からですが、その当時から既にジェンダーに関しての論争はほぼ下火になり、普通に同性愛者であったり、トランスジェンダーは当たり前のように平等に扱われていました。

が、実際にはシドニーやメルボルンなどのメトロポリタンと言われる大都市部だけで、ちょっと都心を離れると一気に保守的な人間が増えるのもオーストラリアの特徴でもあります。それに都市部でもある地域によっては差別的な所もあります。

また、移民国家である為、宗教的にもゲイや同性愛、性同一性障害、トランスジェンダーの人達を認めず、罪であるとする価値観を持った人たちも少なくないです。ですが、同じ豪州人としての人権の尊重や法律的な改正により徐々にそういった多様性を認める動きが広がっている事は確かであると思います。

そこで今回はオーストラリアのジェンダー問題に関しての対応と一般的なオーストラリア人の価値観について私の経験から見た現実を書いてみたいと思います。

 

オーストラリアのPDHPE教育とは?

オーストラリアでは、もう随分と前からジェンダー、生物学的に言う所の性差についての勉強を学校で取り入れています。教科としては、PDHPE(Personal Development, Health and Physical Education)という授業で習います。

これは日本での体育の授業と被りますが、そのほかにも自己啓発、健康などの基本的な知識、体の変化に応じたするさまざまな状況での自分自身と他の人の健康と安全、幸福を尊重して保護し、強化するために必要な知識と理解、スキルや態度を養うものです。

ジェンダー教育もこの中に含まれますが、基本的に教えることは性差についての平等と人権の尊重といったことで、小学生の頃から自己の尊重として男女の区別なく、男女平等というスタンスで尊重する方針で学校では対処していきます。

また、高校生になるとずっと進んで、スポーツ科学、栄養学、疾患、メンタルヘルス、薬物および薬物乱用や人間関係、および人間関係における力関係からくる虐待やいじめなどについても詳しく勉強することになります。

詳しい内容は、こちらで確認できます(英語ですけど)。

» Personal Development, Health and Physical Education (PDHPE) Syllabus K–6 (2018)

» PDHPE (Personal Development, Health and Physical Education) Stage 6

*K-6というのは、日本での小学校での義務教育に当たります。

 

ジェンダー教育としての学校の対応(実体験)

【豪州生活】実体験から見た、オーストラリアのジェンダー教育と現実とは?

では、学校でのこれらの性差についての対応ですが実は非常にきちんとしています。

例えば、

ウチの長男は今年18歳で成人しましたが、小学校2年生の時に髪の毛が長くて女の子のようだとからかわれました。特に泣いて帰って来たわけではないのですが、傷ついていた感じがあったので、その旨を担任の先生に報告しました。

今から10年くらい前の話になりますが、担任の先生はすぐにその生徒を呼び、ジェンダーについて見た目や格好から性別に対しての差別をしてはいけないということを説明、追って、その両親にもその旨を説明して家庭での性差別についての協力をお願いしたと報告がありました。

そしてその次の週の学校集会では、性差別についての説明と個人の嗜好の自由さと尊重をすることについて学校長から全校生徒に説明がありました。これが今から10年前の話です。

そして、現在(2019年)の次男の学校では女の子でもズボンを履いていいし、男の子でも当然、スカートを履いていい(まだ履いている子は見たことないですが)ことになっています。

現在は、私立の学校に通っていますが、2年生までは公立の学校だったのですが、次男の仲良かった女の子はスカートを履くのを拒み、ズボンのみ。髪の毛も親が伸ばしているだけで本人は短くしたいとのことで、いつもポニーテール。喋り方も男の子のようだし、自分で男の子の名前に変えてしまったし、遊ぶのも男の子ばかり。女の子からは「いじめっ子」として定着してましたけど。

しかし、残念なのは、その子の親は割と保守的な感じで、その子が男の子として育つのに否定的で、非常に困惑していました。ただ単にTom boy(お転婆で男っぽい子)と思っているようでしたし、そんなに親しくもなかったので、「自由にさせてあげたらいいのに」とは言いませんでしたけど。まあ、周りの子供たちはもう既に、彼女の事を男の子の名前でJoe(仮名)と呼んでいましたから、周りの子供たちの方がよっぽど理解があるという皮肉な状況。それに割と意志が強い子のようでしたから、多分、大丈夫だろうと思っておりますww。

また、私たちの住んでいる地域もシドニーでは有名なゲイの多い街で、小学校の校長先生も実はゲイ(偶然、ご近所という知り合いが教えてくれた)。まあ、なんかあったら学校の方で対処してくれることでしょう。

 

 

生徒の運動で制服の性差は撤廃する学校も

また、地域的なものもありますが、私の住んでいる地域の公立高校(豪州は中・高一緒)では数年前に生徒がジェンダーフリーの制服を希望すると言うデモをしました。そして、すんなりと学校側も受け入れて、今は女の子用、男の子用、と言うような制服での性差はなくなりました。

実際にはすでに小学生の時点でジェンダーフリーを基本にしているのですが、当然ながら年齢や理解度によって授業内容も変わってくるのでまた、高校に入るとジェンダー教育にも力を入れるようになります。性差で差別をしたりしないようにきちんとした生物学的、心理学的側面からの教育が始まります。

また、カウンセラーは必ず常勤でなくてもいるので、何かあった場合には学校側からも相談するようにと言う指示もあることが多いです。これは、ジェンダー問題だけでなく、様々な子供達の心の問題に関わってきます。

 

家庭でも性差の多様化は普通に対処

実際に私の周りでも数人のティーンが現在、トランスジェンダーとしてのケアーを受けています。彼女たちは長い間、性同一性(障害ではないので、障害は取ります!!)として男であるのか、女であるのかと言う微妙な間を行き来てしていたようですが、ある一人は既に乳房を切除して男性ホルモンの投与中ですし、もう一人はとりあえず、名前を男性名に変えたようです。

そのほかにも10年前と比べると非常に多様化してきたと思います。

また、この子の親に話を聞いて見たら、学校でもきちんと対処してくれているようで特に問題なくケアーも充実しているとのこと。子供が「実は自分は男の子だと思っている」と言われる前にもっと早くにこちらから聞いてあげればよかったと親御さんはおっしゃってましたけど。こればっかりは、なかなか難しい問題だと思います。

いくら親子でも聞きにくいこともありますから。特に、性に関することはあまり突っ込んで聞けなかったりします。そう言うときには専門のカウンセラーに相談する方がいいときもありますし。

また、一般家庭であっても性差による差別というのは少ないと思います。実際、私の家庭では息子が同性愛者であろうが(一時期、そんなことを言っていたが、今は方向性が見えたらしい)、異性愛者であろうが、特に幸せであればいいという風に言っています。

それに多分、私達が同性愛に反対だったら息子からもう攻撃を受けることになるでしょう。そうやって、学校でも小学校の頃からジェンダーに関して平等に扱うように教育されているので、オーストラリアの子供達にとって、ジェンダーフリーは常識であると言えるでしょう。

 

 

 

オーストラリアの家庭環境の多様化

【豪州生活】実体験から見た、オーストラリアのジェンダー教育と現実とは?

10年以上も前になりますが、長男の小学校にも数組の女性同士の家庭がありました。当時はまだ同性婚が認められていなかったので、ディファクトと言う事実婚としての関係性を認めていましたが、母親が二人という家庭もありました。それと反対に父親が二人、という家庭も当然あります。私が知っているだけでも、母親だけ(二人のママがいる)の家庭は5組あり、父親だけ(ふたりのパパがいる)の家庭も3組ありますし、他にも例を挙げればきりがないほど最近は増えてきています。

ですから、ある家庭ではアメリカから精子を取り寄せたり、ある家庭では友人男性に精子の提供をしてもらい、一緒に育てるという形をとっている場合もありますが、問題も多くあり、どちらがどの程度の親権を持つのかとか、子供が父親側に行きたがらないとか、そういう問題も起きているのも事実です。

なので、女性ゲイカップルの友人はアメリカから精子を取り寄せるという方法を考え中とか。実際に、裁判になった事例もあるので、法律関係に詳しいウチの夫も精子提供の方を進めていました。また、養子縁組自体もオーストラリアでは時間がかかっていたのが、最近では簡単になってきましたし、2018年の4月から同性婚での養子縁組も可能になっていますので、もっともっと多様化していくのではないかと期待しております。

 

 

まとめ

このブログではフェミニズムについても書いているんですが、オーストラリアではジェンダー、性別についての議論はあまりないです。というのも、こうした教育のおかげで男女平等は当たり前の知識として定着しています。

» 日本でフェミニストが否定的に取られる理由、本当のフェミニズムとは?

ですから、改めて『女の子なんだから』とか『男の子だから』という表現は基本的にはあまり聞かないです。男性であっても料理、洗濯などの家事は当たり前ですし、少なくとも女性の仕事という風にいう人は少ないです。

しかしながら、移民国家である限り、他宗教であるし多民族国家ですからそれぞれの移民先からの思想や文化も継承する権利もありますし、それがまた多様性を持った国家を形成していることにもなるので、総体的に見ていいことではあると思います。

ですが、その中でも男尊女卑が酷い文化的背景のある国々もあり、それをオーストラリア国内でも継承する人々もいて、問題が起きていることも確かです。特に、宗教的にも男尊女卑思想を受け継いでいる場合には非常に残念な女性差別による事件も起きています。

また、これはどこの国でもあるのですが、女性に対する男性からの虐待や暴力もまたありますし、それらはフェミニズムに関することよりも犯罪性が強く関わってくると私は感じています。女性を差別するから暴力的である前に、そういう男性は既に元から暴力的な性癖な訳で弱いものイジメをする感じに近い気が。まあ、それぞれにいろんなケースがあるので一概には言えませんが。

とにかく、

オーストラリアの教育において、ジェンダーフリー教育はどんどん浸透していますし、10年前に比べてもずっとこの教育方針の成果が表れていると思います。長男の時よりも、次男(9歳差)の今の方が同性の両親の数も増えていますし、よく見かけるようになりました。そして当然ながら、やはり子供たちの言動にもあられていて、家庭でのポジティブな思想もまた影響しているからと言えるのではないでしょうか。

AU夫から言わせると、彼の時代はまだまだジェンダーフリーに関しての偏見も多く、同性愛が理解されにくく、街で暴力にあったりしたそうです。ですが、国がキチンと性差に関する教育をして行った結果が今の子供達に現れてるわけで、いかに教育が大事かということがよくわかります。

ちなみに、このPDHPEのカリキュラムが構成されたのが1992年になってますから、少し早く子供を作っていれば、いまの小学生低学年の親になっているか、もしくはこれから親になるという年代がきちんとしたジェンダー教育を受けている世代と言えますね。

なるほど・・・この辺の年代は私の豪州大学時代の同級生になるので、友人も多く、彼らの価値観を考えてみても、うん、教育の成果はあったと思います。

本当の意味で子供達が自分らしく生きていける、全ての人間に自分らしく生きる権利があるという教育、そういう教育こそがこれからの世界を救うのではないかと思います。

 

 

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Sakura
2000年からオーストラリア在住。シドニー某大学の修士課程卒業。『海外在住引きこもり主婦』のアーティスト兼ブロガー。専門は銅版画ですが、油絵もやります。海外生活事情や文化などを中心に書いてます。
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